「削る、磨くのプロを束ねる
1/1000mm精度が求められる仕事
「ミヤタテクニカルは私の父(宮田清光)が創業してから既に67年の長い歴史がありますが、株式会社エールの業務である機械加工の分野はまだ30年という新しいものです。同じ敷地内にはありますが、分かりやすく言うと、ミヤタテクニカルの業務は鉄を切って、穴を空けて、溶接して、時には曲げるという作業です。一方のエールは鉄を削る、磨くという業務です。ミヤタテクニカルでは1mm、あるいは0.5mmの作業ですが、エールでは1/1000mm、の精度で制作しています。
外注しない、自社で製品を作る強み
「例えばコンベア作成のご依頼を頂いた時に、フレームはミヤタテクニカルの技術で作ることができても、駆動関係の部分に関しては機械加工になります。こういったご依頼をセットで受けた時、かつては機械加工の部分を外注していた時代がありました。しかしながら、外注でお願いすると納期の問題などもありますし、こちらの思った通りに行かない部分も多い。それならば、機械を買って社内でやろうと思ったのが機械加工を始めたキッカケです。2000年4月にミヤタテクニカルから機械加工の部門を独立させ、分社化しました。私が社名の名付け親ではないのですが、ミヤタテクニカルとは違うイメージの名前でという私の意見から、エールが社名になりました。とはいえ、同じ敷地内ですし、2つの会社は持ちつ持たれつの部分もありますし、同じグループとして力を合わせて業務を行っております」
短納期にも対応できる工作機械
「エールでは現在、数多くの工作機械を稼働させています。最近は、ご依頼の納期がどんどん短くなってきています。短納期の中でお客様のご依頼に応じるためには外注に出している時間はないわけです。一貫して自社でやろうとすれば、機械を揃えるしかなかった。そういった事情もあり、機械を順次増やしていき、現在は一貫して自社で作業ができるようになっています。今までこうやってエールが成長できたのも、お客様に頂いたチャンスのおかげだと思っています」
私たちがなぜ、何でも屋になれたか?
「ミヤタテクニカルとエールはそれぞれに業務のジャンルがありますが、一言でいえば、何でも屋と言えるかもしれませんね。他社ができて、うちができないことはないだろうという考えが基本にあります。何とか努力すればできるだろうと思って、素人なりにやってきました。素人発想の強みと言いますか、何でもまずはやってみようという、貪欲なハングリー精神でチャレンジしてきました。私たちの仕事はお客様と話をして、設計して、製品にしてという形ですから、全く同じ物を二度作るというのはあまりありません。これまで量産加工のお話もたくさん頂きましたが、幸いにも私たちはお客様に恵まれ、社員に恵まれ、大きな失敗もなくここまでやってくることができました」
お客様は神様。だから喜んでもらおう。
「ご依頼を頂くお客様は神様だと社員によく言っています。どれだけワガママな注文でも、神様に逆らってはいけない、全てOKでないといけないと。オーダーをいかに考えて、神様に喜んで頂くかがうちの腕だよと。痒い所に手が届くなんてよく言いますが、今の時代は痒い所が昔ほど多くはない。だから、痒い所を探すのではなく、こういう部分が痒くなるだろうと先を読んで、お客様の満足度をあげていかないといけないと伝えております」
自社ブランド製品は会社の夢
「エールの機械加工技術で作った製品を売り出す、いわゆる自社ブランドというのは夢ですね。ただ、かつて挑戦したことはありますが、製造業の我々が販売もするというのはなかなか難しいことだと感じますし、リスクもあります。それよりも我々の技術の中身をもっとしっかり固めていこう。今はまだそういう時期であると感じていますが、いつかチャンスがあれば、やりたいとは思っています」